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縄文の森を取り戻そう

山の上にゴルフ場はいりません。

嵐山町に計画されたゴルフ場に反対して10年が経過しました。バブル崩壊、地球温暖化の促進、さまざまな問題が表出しました。山は誰のものか、土地所有者だけのものではないはず。そこに住む人、動物、植物がいく世代にも渡って生きてきた環境があります。これをいつまでも、まもっていく、山の神が生存していた頃、山には手をつけなかった。そんな状況をとりもどそう。山が自然のサイクルで生きていくように手をかそう。その運動をつくっていきましょう。

 

   ゴルフ場開発許可取消訴訟

   控訴審判決

   コリンズCC地図

  埼玉県知事によるコリンズCC開発許可処分の違法性と現状

  これまでの取組み

  これからの課題

 

 ゴルフ場開発許可取消訴訟

  嵐山町にコリンズカントリークラブというゴルフ場が、県知事によって開発許可処分されてから10年になります。嵐山町の水道水源の上に計画されたゴルフ場ですが、バブル崩壊で、未着工のまま10年が経過しました

このゴルフ場計画に反対して、要望書を提出し、司法の場で、ゴルフ場開発の違法性を明かにして、開発計画をとめようといくつかの裁判を提訴しました。

1、被告・嵐山町長との、ゴルフ場進入路の工事差止め訴訟

2、債務者コリンズカントリークラブとの、ゴルフ場工事差止仮処分

3、被告・埼玉県知事との、コリンズカントリークラブ開発計画の資金計画

  の情報公開非公開処分の取消訴訟

4、被告・埼玉県知事とのゴルフ場開発許可の取消訴訟

 

これらの裁判は、いずれも、裁判所の判決は、住民は裁判をする権利がないという判断で、県知事相手の裁判以外は、最高裁に上告するまでしましたが、住民には、司法で違法性を明らかにする権利はないというものでした。

  ところが、10年間争っている県知事の開発許可取消訴訟の高裁判決は住民にも裁判をする権利があるというとりあえずの勝訴です。

 

控訴審判決

 

ゴルフ場開発許可処分取り消し控訴審判決で原審差し戻し

              (2001年4月25日東京高裁判決)

 主文

 原判決中被控訴人が株式会社コリンズカントリークラブに対し平成3年9月17日指令林第1395号をもってした森林法の規定に基づく林地開発行 

 為の許可処分に関する部分を取り消す。

 同部分につき、本件を浦和地方裁判所に差し戻す。

 控訴人らのその余の控訴を棄却する。

 前項に関する控訴費用は控訴人らの負担とする。

 

 原判決では、ゴルフ場開発によってどのような被害があろうと、住民にはそのことをもって森林法に基づき開発許可処分取消の訴訟を起こすこと自体許されないとされていたのに対し、それが否定されました。その部分を引用します:

 

「…そうすると、森林法第10条の2第2項各号がいずれも開発区域の周辺住民個々人の利益を保護する趣旨を含むものではないとの解釈に基づき、控訴人らが水害等の災害による直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に居住する者であるかどうかについて何らの検討することなく、控訴人らの原告適格を否定し、本件林地開発許可処分の取消を求める控訴人らの訴えを却下した原判決は、不当であり、取消を免れない。」

 

これまで、行政は山林開発に際して事業者による異議申立てしか認めず、住民による訴えは軽視・無視することができました。このようなことは、もはや許されないということが判決の意味です。

山林開発によって周辺の環境が損なわれ、水害などの被害が発生することが具体的に明らかになっても、住民には開発許可処分取消を裁判で求める道が閉ざされていた状況に、ようやく光がさしてきた思いです。

 

コリンズカントリークラブは1991年に開発許可されてからほぼ10年たちます。工事完了予定日は平成6年12月31日でした。事実上未着工状態のまま、特別土地保有税も滞納のまま、立ち往生していましたが、県ではいまだに工期延長を認めるのみです。

玉川村にある玉川スプリングスと一体化して27ホールにする計画変更の動きもあり、県と事業者が協議しています。

このように重大な問題が提示され、工事も立ち行かない事業については、県による開発許可処分についての事後評価も必要です。

私たちは、これから浦和地方裁判所で開発許可処分の違法性を更に明らかにし,処分取消を求めていきます。

 

コリンズCC地図

 

 

 

 

埼玉県知事によるコリンズCC開発許可処分の違法性と現状

 @森林法による開発許可

 山林生態系が豊かであるとき、そこから湧き出す清水は流域を潤し、表土を守る植

生や張り巡らされる根によって地盤災害も防がれ、貴重な自然環境が得られることに

ついては、乱開発が進むなかで失ったものの大きさに人々が気づくにつれ、広く認め

られるようになってきました。

森林法(第10条の2第2項)も、山林開発行為により、地盤災害、水害の発生のおそれがあり、または、水の確保に著しい支障を及ぼしたり、環境を著しく悪化させるおそれがあるときにはこれを許可するべきではないという趣旨のさだめを設けています。

 

 Aコリンズカントリークラブ開発計画の問題点

 コリンズカントリークラブは私たち嵐山町住民の上水道水源の上流に位置する丘陵地に造成される計画です。造成地は嵐山町にかろうじて残る自然環境に恵まれた山林で、オオタカが舞いオオムラサキも飛ぶ場所です。ゴルフ場ができればザリガニの住む渓流も埋められ、木々は伐採され保水力を失った山には農薬が大量にまかれ、周辺の農地や住宅地にも被害が及ぶことになります。

10年前、7000名以上の反対署名など反対運動にもかかわらず開発許可されたゴルフ場ですが、バブル崩壊もあり工事進捗率は当初より0・342%と、事実上未着工のまま現在に到り、財政的にも破綻状態です。

バックにあった日本債券信用銀行もパンクしました。数年前より、さらに縮小した計画に変更する動きもありますが、それも資金の目途がなく、保留の状態です。

バブル崩壊後、資力信用力がないにもかかわらず、事業者は計画を断念せず、県による許可処分も生きています。

 

B開発許可取消訴訟の違法性の争点

計画どおりに造成がされれば、洪水調整などのために設けられるAからGの7基の調整池のなかでA,B,C,Dの4基は容量不足であり、大雨が降ればそれら調整池からの放流水量は許容量の役30倍から100倍にもなります。

志賀のB調整池下流の水路は、洪水などの被害の危険性があります。こと。B調整池の背面に設けられる盛り土止め用の擁壁も地震時には圧力に耐えられず、大量の土砂が調整池になだれこみ下流に災害をもたらすことが大きな争点です。ことなどについて、具体的根拠を証拠として提出しました。

C浦和地裁判決

浦和地裁は、その内容に立ち入って審議するまでもないとして、却下したのです。

その理由として、森林法の規定は開発許可に際して周辺住民に被害が及ぶことのないように配慮するべきことを定めているが、それによって個々の住民の権利も保全されると考えるべきではなく、住民が知事を被告として訴えを起こすことは、筋違いであるという趣旨のことがいわれました。「反射的利益説」という考え方で、これによってこれまで多くのこの種の訴訟が門前払いされてきました。

 

 D控訴審審議

 控訴審に入ってから、特に水害に関して控訴人主張について検討し、県知事側からも反論を出して欲しいとの裁判官による度重なる要請があり、「進行についての打ち合わせ」という形で一部内容審議に当たることが続きました。私たちの具体的主張に対して知事側は、「仮に調整池の容量が不足であるとしても、控訴人にさしたる被害が及ぶことはない。」などと、十分な根拠もなしに主張し続けました。B調整池下流に住む控訴人宅そばの水路に設けられていた防火用水用の堰があるために、水路に大量の水が流れ込むとき溢水が起こることについても、知事側は軽視してきましたが、判決まじかになって、「このままでは不利」と悟ったのか、権力を行使して地元住民に堰を廃止するよう指導しました。これは、相撲で寄り切られそうになってから、土俵を広げるようなやりかたであり、現計画のままでは危険であると認めたようなものです。また、B調整池背面に設置される計画の擁壁が設計段階で安全性基準を満たしていないことを、土木工学のマニュアルにある計算を用いて示したのに対しても、知事側は「安全性に問題はない」と抽象的に繰り返すだけで、その具体的根拠を全く示しませんでした。

E高裁判決の意味 

「反射的利益説」については、もんじゅ訴訟においてその一角が崩され、さらに平

成9年1月28日最高裁第3小法廷判決においても、「崖崩れなどによる直接的被害

を受けることが予想される範囲の地域に住むものについては、開発許可(都市計画法

による)の取消を求めて提訴する原告適格を有する。」旨の決定がなされ、いまや時代遅れになりつつあります。

 開発許可に関して、住民の安全性を無視してはいけない・住民の意見・意義申立に耳を傾けなくてはいけないということがようやく一般化しつつあるということです。

 

浦和地裁では、もう一度安全性が確保できないことを主張していきます。

 

これまでの取組み

1、コリンズカントリークラブ計画地について

コリンズカントリークラブ(資本金1億円・住金鋼材工業株式会社が出資)、事業計画はコリンズグループが行っていたようである。

 

 当初の計画  137ha・18ホール(嵐山町平沢・志賀・遠山・小川町下里)

現計画    90ha 12ホール(小川町下里の地権者の反対で用地取得が難しく、

       計画変更した)

工事実施期間  (1991年9月着工・1994年12月完了予定)

         工事の進捗率は0.342%で未着工

工事事業者  鹿島建設

計画地の所有者 (嵐山町分)    71ha

         コリンズCC分   21.3ha

         民間所有  81人 約50ha

         東京電力     0.01ha

         公共用地     0.7ha

コリンズCCは、用地取得・開発同意取得を、小川町の(有)浩田屋商事と(株)勤労者

財形住宅センターに委託

 用地取得 16・8億円

 開発同意協力金 30億円 

 立木取得  18・4億円

 

1994年より、現在、地権者との賃貸契約で賃料が支払われておらず、地権者は保証金を賃料として取り崩しているが、保証金もそろそろ底をつく。

 

株式会社コリンズの抵当物件として、日債銀が債権者である根抵当100億円が、所在のない(株)副都心研究所によって債務保証されている。

 

嵐山町と小川町の町税の滞納分は1億円を超えると考えられ、現在両町が計画地を差押。

 

2、コリンズカントリークラブ造成工事に反対する運動の経過 

★いのちと清流と子ども達の未来を守る会として、四つの裁判を提訴した。

@ 嵐山町長にたいして、ゴルフ場の進入路工事の違法性を問う住民訴訟

A コリンズCCに対して、工事差止めの仮処分

B 埼玉県知事に対して、ゴルフ場開発許可取消の訴訟

C 埼玉県知事に対して コリンズCCの資金計画の情報公開非公開処分の取消

★経過

1987年10月、嵐山町、小川町にコリンズCC造成事業申出書提出

1988年 1月、埼玉県受け付け

      県土地利用会議において、ゴルフ場進入路となる林道を町道変更し、拡幅を 

      指導(林道は幅5・5mだが、ゴルフ場指導要綱によると、進入路は、幅6

      メートル以上必要であった。)

       町,林道を廃止し、町道とする    

   9月 県、立地承認

  12月 町道1‐12号線改良計画協定書をコリンズCC・町が締結

進入路拡幅部分の一部に農地があり、農地法により、嵐山町

が町道拡幅工事をする事しか、拡幅をすることはできない状況

であった。

 

1989年   地区同意の必要な嵐山町平沢・志賀・遠山地区・水利組合に接待等が頻

        繁に行われる。

        ゴルフ場予定地の買収始まる。

    4月 町が町道1‐22号線拡幅工事の負担金2億6千万円をコリンズCCに要求 

    

1990年3月〜コリンズCCによる関係地区住民への接待旅行、ゴルフ招待・各地区総額

2億円前後の物件や寄付を受ける事を条件に地区同意の協定書を締結(最終

91年2月)

    5月〜コリンズCC環境アセスメント準備書の提出・意見聴取・公聴会

      県知事に対してのゴルフ場造成に反対する要望の署名活動を展開

1991年1月 住民による町道1‐22号線拡幅工事差止めの監査請求

    3月8日 嵐山町とコリンズCC町道1−22号線,変更負担協定を締結

        (約5億2千万円)

    4月6日 町道1‐22号線拡幅工事差止め訴訟を提起@

                  原告 弥永健一他23名

         被告 嵐山町長関根昭二

            コリンズCC代表取締役下山田裕

    6月 コリンズCC環境アセスメント評価書の縦覧

    6月24日  コリンズCC計画地造成事業変更申出書提出

          (小川町下里地区一部用地取得不能のため、18ホールの計画を 

           12ホールに縮小)

    8月  開発許可申請を県が受理

    816日 住民70名による,コリンズカントリークラブゴルフ場建設工事差止

         め仮処分提起A

         債権者 弥永健一他69名

         債務者 コリンズカントリークラブ代表取締役 下山田裕

    9月17日 嵐山町と鹿島建設による町道1‐22号線拡幅工事契約を議会が承認

         (指名競争入札の結果工事請負業者・鹿島建設)

          埼玉県知事が開発許可処分する

         (造成工事終了1994年12月予定)

    12月16日 コリンズカントリークラブ開発許可取消請求提訴B(本件)

          原告 弥永光代他15名

          被告 埼玉県知事 畑 和

 

1992年12月  根抵当権設定  11億5千万円

        債権者  住金鋼材工業株式会社 (請負取引) 

        債務者  コリンズカントリークラブ

 

1993年2月  町道1‐12号線工事差止め訴訟却下@

     3月  根抵当権設定 100億円

             債権者  日本債権信用銀行(手形債権・小切手債権)

             債務者  株式会社 副都心研究所

     6月 町道1‐12号線工事損害賠償請求提訴@ 

     9月 開発許可取消訴訟1審却下B(本件)

        開発許可取消訴訟控訴B(本件

)    

1994年 1月 工事差止め仮処分却下

       コリンズCCと賃貸借契約者において賃料の支払い猶予の協議

    2月  工事差止め抗告A

    6月  根抵当権変更 (債権の範囲が、請負取引・保証取引に)

   12月  工事差止抗告却下A

        コリンズカントリークラブより県に対して3ヶ月ごとに開発許可事項変    

        更届として,工期の変更が提出されるようになる

 

1995年 2月  工事差止特別抗告A

      4月   情報公開非公開処分取消訴訟提訴C

(コリンズCC開発許可申請書の資金計画を情報公開請求し、非公開処

分となった文書の公開を求めるもの)

         原告 渋谷登美子

         被告 埼玉県公文書センター所長

      9月  嵐山町一般会計決算書にコリンズCCが特別土地保有税滞納記載       

     11月  町道1−12号線損害賠償請求棄却@            

     12月   町道1−12号線損害賠償請求控訴@

 

1996年 8月   小川町はコリンズCC町税滞納により計画地(小川町分)を差押

         嵐山町参加差押  

    10月   町道1‐12号線損害賠償請求控訴審棄却@

    10月   町道1−12号線損害賠償請求上告

 

1997年3月   コリンズCC代表取締役変更 下山田裕氏(住金鋼材工業取締

         役)から藤井義孝氏藤井義孝氏(副都心研究所取締役)

     ?月   工事差止特別抗告却下 A

     7月   情報公開非公開処分取消請求一部認容・一部棄却C

     7月   情報公開非公開処分取消請求控訴C

     9月   小川町はコリンズCC町税滞納により計画地(嵐山町分)を差押

 

1998年4月   嵐山町は、町税滞納より,計画地の小川町差押に参加差押する

     6月   情報公開非公開処分取消請求控訴審棄却C

     7月  情報公開非公開処分上告C

     8月  町道1‐22号線損害賠償請求上告棄却

 

1999年2月  情報公開非公開処分棄却C 

     4月  コリンズCCと地権者による会議の開催。

       計画地縮小(ショートコース18ホールへの変更)計画を説明。

       

2001年3月下旬 予定では嵐山町と地権者及びコリンズCC代表取締役代理による協議

          が行われた。(コリンズCCの代表取締役ではなく、(株)コリンズ

          の代表取締役との協議である。) 

          コリンズccは、まだ、計画変更を持ちかけている。

          コリンズの計画地を玉川スプリングスに売り、玉川スプリングス(18

          ホール)とコリンズCC(9ホール)27ホールゴルフ場にする計画

          らしい。

          

                    

これからの課題

 

日本の森林は、江戸時代くらいから、里山として、人間に役立つ経済の生業のなかで、生きてきました。里山文化があります。

里山としての経済活動に森林が無意味になった時、土木事業の為に、山林が開発されるようになり、無残な姿となってきました。

山は所有者のものではない。山は、水源、たくさんの命の源流になります。

そのために、誰も山が命を取り戻すような手入れはしても、経済利用を度外視した山をこれから創って行く運動が必要です。

山の手入れをする人を見つけて行くこと、里の部分では、自然とひとが交流する場を作っていく・そういった趣旨のグループをつくっていきたいと考えています。

嵐山町には、水源保全条例などを制定して、資金を確保する姿勢をつくることを働きかけていきます。