平成221130

嵐山町議会議長  藤野 幹男様

 

文教厚生委員長 渋谷 登美子

 

所管事務の調査報告

 

本委員会は所管事務を下記の通り、中間報告します。

 

 

本委員会は、「地球温暖化対策について」と「文教厚生委員会に関係する施設とそれにかかる人的配置」を閉会中の特定事件とし、104日、1025日、1116日に委員会を開会し、調査研究した。地球温暖化対策について、9月定例議会前の829日を最初として2名の方との意見交換会、109日、大妻嵐山学園において大妻中学生6名、高校生7名、1021日、町民ホールにおいて農業者4名・林業者の方2名、1028日、花見台工業団地管理センターにおいて花見台工業団地工業会の方7名、事務局1名、1111日、商工会事務所において、商工会の方7名、事務局2名、1112日、町民ホールにおいて、里地里山委員会の方5名、1113日、嵐山町菅谷中中学生7名、玉ノ岡中中学生8名、指導主事1名の16名、計7回、意見交換を行った。意見交換は、最初にパワーポイントを使って、地球温暖化の現状・一般的な対策の情報を提供してから、話し合いを進めた。

 

1、                地球温暖化対策について

(1)104

@埼玉県地球温暖化対策課に出前講座をお願いし、東京都との排出権取引の仕組みについて説明を受けた。埼玉県の地球温暖化対策計画では、原油換算で1500キロリットルのエネルギー使用の事業者、店舗面積の合計が10000u以上の事業者、地球温暖化対策計画、実施状況報告書の提出が義務付けられ、目標削減率が定められており、基準排出量の目標に達成できない場合、排出量取引ができるというものである。利用可能な排出量取引として、超過削減量、県内中小事業者の削減量、再生可能エネルギーのクレジット、県外大規模事業者の削減量、森林吸収クレジットが設けられ、東京都の排出量取引にも応じることができる制度の構築である。

A1025日の低炭素地域づくり条例プロジェクトの嵐山町視察ルート(役場庁舎→花見台工業団地→インターチェンジランプ内→古里→小川地区衛生組合じん芥処理施設→小川地区衛生組合し尿処理施設→平沢大店舗(カインズ・ベイシア)→

小千代山→平沢土地区画整理組合→アイプラザ(昼食)→NWEC屋上→槻川の川の再生→鎌形堆肥施設→鎌形工業団地→根岸・将軍沢の遊休農地→川島地域→志賀2区→役場)を計画した。

(2)1025日の委員会

低炭素地域づくり条例プロジェクト(気候ネットワーク・環境自治体会議・市民と議員の条例づくり交流会議よりつくられたプロジェクトチーム)のメンバー5人を参考人として、文教厚生委員会と共に町内を視察した。視察をした後に嵐山町の地域特性を生かした有効な地球温暖化対策についての提案を求めることとした。

    低炭素地域づくり条例プロジェクトとの意見交換では、環境自治体白書2010の嵐山町CO2の排出量は、2007年度は1990年度よりも削減されている結果になっているが、その理由は、全国CO2排出量から産業形態・交通量・人口でわりだしているため、排出量の推定が難しいことが報告された。

    又、嵐山町で温暖化条例に含められる要素として@定量的に温室効果ガス削減ができる対策・仕組みの構築、A町内でよい仕組み、循環が生まれる対策・仕組みの策定、Bスポット的に取組ができる対策・仕組みの策定、その3点を含む計画策定を条例に位置づけることが提案された。

   その中で、九都県市で太陽熱利用の温水器の普及について説明があり、太陽光発電よりも費用対効果が大きいことの紹介があった。給湯は、家庭のCO2排出量の13.4%であるため、太陽熱利用の効果があり、見直されているとのことである。

(3)1116日の委員会

@1025日に開催された環境省の地球温暖化対策のCO2の排出量の簡易測定について、出席された環境課担当職員より報告を受け、嵐山町のCO2の排出量測定について議論した。簡易測定では工業統計を活用するため、GDPが増えるとCO2も増え、人口が減少するとCO2排出量も減少する。簡易マニュアルの嵐山町CO2排出量推定値は参考にはなるが、町が努力してもその努力が推定値には反映されないことがわかった。大都市では、職員数も多く、独自にCO2排出量推定量を計算できるが、嵐山町の現状では、独自に排出量推定値を出すことはできない。そのため現在は、条例にCO2排出量の削減目標をいれることはできないことがわかった。

A7回の住民との意見交換会後、嵐山町の地球温暖化対策の条例化について、留意する点について議論した。

829日の意見交換

学校の環境教育の必要性・数値にこだわる必要はないという意見であったが、文教厚生委員は、参加者が少なく町民の関心が低いという感想をもった。

109日の大妻中高生の意見交換

大妻嵐山学園では、中高一貫教育において環境教育を重視することが方針としてとられているため、一環した環境教育のプログラムがある。そのプログラムの成果を中高生から発表していただき、その後意見交換を行った。

生徒からは、CO2の排出量の数字を確かなものとして提供してほしいという意見があった。又、アメリカ帰国子女の生徒は、アメリカでは地球温暖化についての授業はなく大妻に入学して学んだことが話された。生徒からは中学入学の生徒と高校入学の生徒ではCO2の排出の意識が異なり、地球温暖化対策については、習慣として身につけることが必要という意見があった。委員の感想としては、生き物、森作りに親しみをもたれている。若い人の関心が強く頼もしい。希望が失望にかわらないシステムを作ることが肝要、環境教育の必要性等であった。

1021日、農業・林業者との意見交換

農業者・林業者では、化石燃料を使っている人は少数であること、後継者の減少による緑化保全の衰退、里山を中心とした循環型農業の消滅が温暖化の原因と考えられること、里山の公道が荒れて、山の道がなくなり公道の役目を果たしていないこと、里山の育林に企業の後援がほしいこと、農業へのCO2の影響を防ぐ政策、補助金等の必要性等、家で薪ストーブを活用しているので薪の利用を拡大する提案、職員自らエコロジーをするためにノーカーデーが必要ではないかという意見があった。

1028日の花見台工業団地工業会との意見交換

税との抱き合わせで排出対策が構築されると取り組みやすい、同様に排出削減に応じた減税政策ができると進む、地球温暖化対策というより、企業ではコスト意識による省エネが先行しているという意見が出された。文教厚生委員会では工業会では、県のCO2排出量の規制対象ではない事業者はCO2排出量の把握をしようとせず、消費者との信頼を考えて排出量把握をお願いする必要などの感想、県の説明が不足しているという感想であった。

1111日の商工会との意見交換

県連の指導によって女性部でCO2の排出量の把握、削減に取り組んでいること、できることからやっていくこと、身近なエコ活動で啓蒙して意識改革を、ISOでは価格が高いがエコアクション環境21は低廉な価格で取り組みやすいこと、町で「里山の日」の企画があれば、町民が里山の整備に参加しやすいのではという提案があった。

1112日の里地里山委員会との意見交換

長年、里地里山に整備に関わっている方であるので、嵐山町の昆虫・植物の地球温暖化に対しての知見を話していただいた。文教厚生委員は、長年関わっている人の知見は尊いという感想であった。

意見交換では、地域の活性化と緑の推進のコラボレーションが必要、緑の創出を条文化することが必要、里地里山の整備システムの構築で、最終商品として里山のものが売れるように商品の開発が必要、都心部との交流のためのコーデュネーター・指導者の養成が必要、地主と需要者とのつながりを行政でつくれ、里地里山の整備で生活できる基盤ができれば、山が荒れなくてよいという意見であった。

1113日の菅谷中・玉ノ岡中の生徒との意見交換

当日は、菅谷中・玉ノ岡中・文教厚生委員会のグループでそれぞれ、地球温暖化対策として、現在、近未来、6年以後どのようにすればよいかを話し合って発表する形式で意見交換を行った。新聞の切り抜きを用意している生徒もいて頼もしかった。

 生徒達の発表は、IHの活用、職員室の冷房の管理、身近なエコ、マイはし、マイバックの提案、グリーンカーテン、国のエコ補助金の継続、24時間営業をやめる、落ち葉の腐葉土への転換、植林などの提案があった。

本委員は、嵐山町の教育で、身近に森林活動などをしていることの成果であるという感想、もっと時間があればいろいろな意見がでたであろう、グループでの発表よりももっと個別の意見を聞きたかったという感想であった。

B議会で条例を作るとことについて改めて議論があった。2050年までにCO2排出量を1990年度比80%削減できたとしても気温が2度上がること、2度の気温上昇は、生態系・人間にとって取り返すことが出来ない分岐点になっており、他の自治体が行っていなくても、嵐山町でCO2削減に取り組むことのサポートをする仕組みをつくることで1歩踏み出すことができるので、地方分権一括推進法制定後、議会の役割が大きくなっていることも踏まえ、条例化に取り組むことを確認した。

 

(4)今後のスケジュールについて

   来年6月に地球温暖化対策の条例案を委員会から提案するため、以下のスケジュールで進めることにした。

   12月中旬過ぎを目途に、前文、条例文たたき台を策定し、低炭素地域づくりプロジェクトにその案を送り、1月中旬までに、視察後の提案とともに、嵐山町条例案素案について意見交換をする。

   2月中旬までに、条例案をつくり、嵐山町行政・議会全員協議会で意見交換を行う。

   その後、条例案をつくり、4月発行の嵐山町広報に掲載し、住民への説明会を開催し、パブリックコメントを行う。その後、条例案を見直し、6月定例議会に条例案を上程する。

    なお、埼玉県では22年度中に森林による排出権取引の仕組みを構築する予定であるため、仕組みが発表され次第、埼玉県森づくり課の説明を求める。  

 

(5)今回の住民の方との話し合いは、土曜日、夜の開催が多く、県地球温暖化対策推進課の出前講座は急に依頼し、低炭素地域づくり条例プロジェクトチームの視察は、町内一巡をするなど、議会事務局、環境課長、環境課、企業支援課、産業振興課、教育委員会、埼玉県、大妻嵐山学園の先生と生徒さん、関係団体の方、嵐山町中学生の協力が不可欠であった。多くのみなさんのご協力に感謝している。

 

2、文教厚生委員会にかかる施設と人的配置について

(1)104日の委員会

移転後の社会福祉協議会とシルバー人材センターを視察した。

元菅谷幼稚園跡に移転した社会福祉協議会では、高齢者の方がラジオ体操に集まり、これから利用方法を皆さんで決めていくということであった。園庭がゆったりしていること、緑が豊かなためくつろげる雰囲気である。園庭の遊具は、老朽化し安全性を確認するには費用がかかることより使用禁止になっている。おもちゃ図書館に来館するこどもは3才までが多いため、いずれ取り外すということであった。おもちゃ図書館は、駐車場から直接入れる元教室2部屋のスペースである。

社会福祉協議会は園庭から入って、靴を脱いで廊下を通り窓口にいくルートであるため、足の不自由な方には利用しづらく、建物の周囲のコンクリートの通路からマットを活用して直接窓口まで靴を脱がないで利用できるようにすべきであるという意見があった。

シルバー人材センターは、元嵐山町立幼稚園の入り口から、直接、庭に自動車で入っていけるように直されて、元園庭は駐車場に整備され、会員には利用しやすい。元職員室が事務室として使われ、元教室は、業務ごとに利用しやすいようにシルバー人材センターの会員によって直されている。トイレは子ども仕様であるが、予算がなく改修ができていない。

空間が広いので、以前と比較すると休憩・事務連絡と活用しやすいようであった。

(2)1116日、

今後建設予定である七郷小の体育館、菅谷中の体育館について、地球温暖化対策  

   として建設にあたって留意していただきたい点を議論した。

       

3、町への要望事項

(1)来年度の地球温暖化対策の住民への補助金は、太陽熱温水器設置もその対象にくわえていただきたい。

(2)菅谷中・七郷小の体育館の建設については、以下のことを希望する。

@    建築面積は、埼玉県地球温暖化対策建築の配慮指針の面積よりも少ないが、地球温暖化対策建築の配慮指針に準じた構造にすること

A    全面的な太陽光発電は財政的に難しいこともあり要望を控えるが、部分的にたとえば玄関の照明等に太陽光発電を活用し、モニターを設置し、教育的効果のある施設にすること

B    照明はLEDを活用すること

C    雨水を植栽へのみずやり、トイレの水洗化等に活用すること

D    外壁をグリーンカーテンが活用できる仕様にすること

 

   

以上、中間報告とする。